Report


Ceramic Art Bizen in Shizutani
2018を振り返って 

2018年 10/20(土)、21(日)の2日間にわたり、
Ceramic Art Bizen in Shizutaniを開催しました。
会場の様子とともに、代表石田より御礼と開催の背景について紹介します。

Ceramic Art Bizen in Shizutani を振り返って

CAB(Ceramic Art Bizen)の開催から早くも1週間が経ちました。
多くの方々から暖かいお礼のメッセージや次回開催の問い合わせがあったりと、
初めてのイベントではございましたが成功できた実感をスタッフ一同で共有させてもらっています。

少し長くなるのですが、CABの開催までの道のりや私の感じたことを綴らせていただきます。





開催のきっかけとなったのは、昨年行われた備前焼まつりでした。
昨年度から備前市と協力し、どのように備前や備前焼を盛り上げていこうかと色々と模索していた中で、イギリスとの繋がりから関係が出来たLondon芸術大学から備前焼まつりに合わせリサーチチームを招聘しました。



私自身もこの2年間London芸術大学でワークショップやセミナー、レジデンスをする機会があり、その中で感じたことはクリエイティブな生徒を育てる為の場所、ということでした。
それは、リサーチをしてから徹底してコンセプトを組み立てるといった指導法や、どの生徒も使いたい素材やマシンを扱え専門の教授のアドバイスを受けれるといった、ある意味では全て自分次第といった方針でした。
なので、多くの人が備前を訪れる機会である備前焼まつりをリサーチしてもらい、客観的に捉えてもらうことが今後の備前に繋がると考えました。



意見としては、地域が一つになり備前市へ日本中から多くの人が来るのは凄いことだ、というポジティブな意見から 備前焼という素晴らしい工芸品は、長い伝統があり作られる過程で大変な作業がたくさんあるのに、作品の見せ方が勿体無いといった指摘がありました。 自分の中でも、将来の備前を見据えたときに販売をすること以上に「伝える」作業をすることが備前焼の価値を分かってもらい、世の中にありふれている雑記との差別化に繋がると自覚することができました。



2018年、年明けからは備前焼作家の森敏彰さんと深夜に及ぶミーティングを重ね、
春にはCABの大まかな概要を決めることができました。
自分は春からは3ヶ月間の渡英の中で、新しく人と出会えばCABとの可能性が生まれないか
頭の中でシミュレーションを繰り返しました。
そして、日本に戻り本格的にCABの準備へと取りかかりました。



7月、講堂内でお花を使った空間演出を引き受けて下さったフローリストの杉本さんも何度も備前に足を運んでくださり、
「フラワーアレンジメントは生け花のように決まった型があるわけではなく、器や空間に自由に合わせること、花以外の素材を扱うことで表現の幅を広げ、感性や時代性と融合させる分野」
といったことを教えてもらったとき、
変化することが難しい備前焼の固定概念を杉本さんなら、新しい感動に繋げてくれるだろうという確信に変わりました。


(因みに杉本さん、CAB直前に行われた国内のワールカップ予選で優勝されました!

)



閑谷学校では、史跡管理部長の木山さんから「これまでは守ることを尊重してきた閑谷学校ですが、これからは文化財も活用していく時代、多くの方々に見てもらえるよう宜しくお願いします。」と、背中を押してもらいました。
とはいえ、講堂内での展示は今までに例がなく、加え国宝にも指定されている講堂なので、難しいこともありましたが、閑谷学校側とプロジェクトチームで擦り合わせをしていくことができました。



講堂内での展示に際して作品をお貸し下さったのは、備前を代表する造形作家の先輩方でした。
あまりお話をしたことがない方々ばかりで、終始緊張しながらプロジェクトの経緯や概要をお伝えする中で返ってきたことばは、
「若い方の作る備前を応援します、協力させて下さい、今後の備前を宜しくお願いします。」と言った暖かいお言葉ばかりでした。
これまで技術的な意味での伝統を継ぐという自覚はありましたが、このときに初めて産地の意思を継ぐ感覚をいただきました。



Bizen x Whichfordプロジェクト


2017年から始まったプロジェクトで多くの園芸ファンから支持していただき、
毎回Whichford工房(英国)から職人さんが備前に来て作品制作やワークショップを行ってくれます。





ワークショップでは自分だけのガーデンポットを作るという内容なのですが、制作のプロセスを分かってもらうことで焼き物の奥深さや難しさ、職人さんたちのスキルの高さをみてもらい、その経験が焼き物の価値や備前焼の魅力を高め、また使うことへのありがたみ へと繋がっていくことを狙いとしています。
ガーデナーの田中みきさんは、園芸関係者へ情報を共有してくださり、ワークショップの取りまとめもする中で、早い段階から展示の為の植え込みのお花を育ててくださいました。

その他、簡略化しますがOxford大学に備前の穴窯を作り、陶芸の方面からだけではなく、文化人類学的などの研究対象として毎年行っている「Oxford穴窯プロジェクト」から今年焼かれた大型モニュメントの展示、
London芸術大学との共同制作のCABの象徴となるモニュメントやディスプレイとしても使えるタイル型のお皿を備前焼で制作、日本の民芸陶器の流れを組むLeach工房からゲスト作家を交え、備前焼テーブルウェアの販売も行いました。








また、ティースペースの担当をしてくださった内田さんはイベントをよりアートに見せ、
私たちを応援してくださり、閑谷へ華やかなイギリスの風を運んでくださいました。





今まで、イベントの企画なんてしたことが無い自分にとって
何から手をつけてどう進めていいのか手探りで不安だらけでしたが、
先輩からアドバイスをもらい、作家仲間やプロジェクトのメンバーで役割分担をし、
その中で色々なアイデアが生まれ、専門分野の方々には直前にも関わらずお願い事を引き受けてもらい、
お客様からは応援メッセージやエールをもらい、なんとか詰めの作業まで持っていくことができました。




イベント開催の数日前からは海外ゲストと中心メンバーで閑谷学校へ泊まり込みで、
共同生活をしながら準備を進め、毎日新しいメンバーが加われば
その度に新たな風となり日に日に団結力が増し、連日深夜まで作業は続きました。


分野が違っても、言葉の壁があっても
「イベントを成功させたい、お客さんに楽しんでもらいたい」という目標を持ち作業をする中で、
スタッフ間の信頼関係も築かれていきました。








10/20、朝9時の開始時間ギリギリまで準備はかかり、
手分けして持ち場を決めているうちに会場はみるみるうちにお客さんで埋め尽くされました。

講堂内の展示や杉本さんのデモンストレーションにも多くの人が押し寄せ
快晴の中イベントは進んでいきました。




結果、2日間通して
イベントへは約2000人の来場者があり
史跡内への来館者は1350人
、
ティースペースは両日完売で
陶芸/寄植えワークショップには約120人の参加者があり、
そのうち8~9割は県外からで、北は北海道、南は宮崎からお越しになられたとのことです。




今回のことを振り替えり、感じたこと経験させてもらったことは
ここでは書ききれないくらい山ほどあるのですが、
その中でも特に私自身が感じたことは
「伝統があるからこそ生み出せる可能性」でした。
備前焼で言えば、約千年近く続く伝統の中で変わらず守られてきた 良さ を、
他ジャンルと融合させることで新しい形へと姿を変えることが出来ました。


それは、フラワーアレンジメントととのコラボレーションで、
器でありながら自由な表現を可能とするアート性であり、
イングリッシュガーデンの分野では、ガーデニングファンを魅了するデコレーションの
スキルと日本特有の自然美を融合させることができ、
モニュメント制作では備前だからこそ武器に出来る「土」という素材性や大物焼成を可能にする薪窯であり、
何より、特に感じた備前の最大の武器は、先輩方や産地から 意志 を引き継ぐことができる地域性だということを感じました。


大先輩にあたる、備前の最前線でご活躍される作家の先生方が「これからの備前をお願いします」と
言ってくれたことや、市役所の方々が自分たちの思いつく企画に賛同してくれたこと、
閑谷学校側は文化財を守ることをしながらも活かす方向へ協力してくれ、
そんな地域のコミュニティを見て海外のゲストは「備前という地は素晴らしいところだ」と
羨ましがり尊敬してくれました。

来場者の多くの人が感動し、たくさんのお礼のメールが届いたのは、
そういった目に見えない伝統や地域、日本文化に国際性といった 繋がり を
感じ取ってもらえたところなのかなと振り返りました。


最後になりましたが、お越し下さった方々、ゲストの皆さま、
ご協力してくださった方々、応援して下さった方々、皆様のお陰で
Ceramic Art Bizen in Shizutani を無事に締めくくることができました。
次回の開催などはまだ未定ですが、またお会いできることを心より楽しみにしています。


2018/10/27 CABプロジェクト代表 石田 和也